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【プレスリリース】極低温の氷表面で動き回る炭素原子を観測~宇宙における炭素鎖生成の起源解明に貢献~

第2回公募研究代表(A05表面実験班)・北海道大学低温科学研究所 柘植雅士さん、A03理論班・渡部直樹さん、東京大学 相川祐理さんらの研究グループは、極低温の氷表面における炭素原子の振る舞いを、独自に開発した手法を用いて観測することに初めて成功しました。

炭素は宇宙で4番目に存在量が多い元素です。それゆえ、宇宙空間には数多くの種類の有機分子が存在しています。こうした分子の起源は星が誕生する以前の宇宙の極低温空間にあると考えられています。多くの有機分子は炭素原子が複数個連なった炭素鎖を持っていますが、炭素鎖がどのように成長したかは、これまで分かっていませんでした。宇宙に浮遊する氷微粒子表面で鎖が成長する説が有力でしたが、これまでそれを裏付ける証拠がありませんでした。また、最近の理論的研究では、炭素原子は氷表面に強く結びつき動けない事が予想されており、炭素鎖形成の起源は謎とされてきました。

研究グループは、これまで実験的に観測が難しかった極低温氷表面の炭素原子の動きを2種類のレーザーを用いた独自の手法で観測することで、氷表面に強く結びつく炭素原子が存在する一方で、ある炭素原子はマイナス250 ℃を越えたところで活発に動き出し、炭素鎖を形成し始めることを初めて確認しました。本研究は、水素などに比べ比較的重たく動きにくい炭素原子であっても、極低温氷表面で自由に動き回り、大きな有機分子の骨格を作りうることを初めて示したもので、宇宙に大量に存在する有機分子の起源に関する理解が格段に進展することが予想されます。

なお、本研究成果は、2023年9月15日(金)公開のNature Astronomy誌に掲載されました。

詳細はこちらから。
https://www.hokudai.ac.jp/news/2023/09/post-1304.html

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